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Welcome Japan Summit 2022
Welcome Japan Summit2022開催報告 ―日本初・国内に暮らす難民の背景を持つ方々に関する調査レポートを発表―

一般社団法人Welcome Japan(以下、Welcome Japan)は、2022年6月18日に「Welcome Japan Summit2022『難民も日本もたくましく』」を開催しました。
本Summitでは、前半にUNHCR駐日事務所より、2022年6月16日に発表されたUNHCRの年間統計報告書「グローバル・トレンズ・レポート2021」から世界の強制移動の報告が行われると共に、アメリカやヨーロッパを中心とした難民包摂のための様々な支援実績が紹介されました。続いて、Welcome Japanが立ち上げた分科会(就労分科会、教育分科会、デジタルマップ分科会)の進捗共有を行い、後半にはヤマハ発動機株式会社技術研究本部の白石章二(しらいし・しょうじ)氏、アクセンチュア株式会社デジタルコンサルティング本部モビリティサービスグループ統括の丹羽雅彦(にわ・まさひこ)氏、株式会社オウルズコンサルティンググループの丹波小桃(たんば・こもも)氏をパネリストとしてお招きし、幣団体の代表理事の金辰泰(きむ・じんて)、理事の龔軼群(きょう・いぐん)を交え、日本における難民の背景を持つ方々を対象としたニーズの調査レポートの発表とパネルディスカッションを実施しました。
調査により高度人財のうち約4割の方の就労機会の不足が明らかに

Welcome Japanは、株式会社オウルズコンサルティンググループ協力の下、日本に暮らす難民の背景をもつ方(日本で難民申請をしていない方や難民認定を受けていない方も含む)を対象とし、抱える困難や日本で暮らす上でのニーズを調査しました。特定の民族グループや在留資格に区切らずに、難民の背景をもつ方々が日本で暮らす上で抱える広範な課題について調査した点においては、日本初の調査と言えます。
調査結果では、大学/大学院卒業相当の学歴を持つ方が 8 割近くを占めているものの、そのうち 4 割は就労できておらず、高度人財としての可能性を日本の雇用市場において活かすことは道半ばであることが浮き彫りになりました。本来、可能性を持つ貴重な人財が活躍の機会を失ってしまっていることは、日本社会にとっても損失と言える状況です。他方、日本に長く住みたいと希望する方は 7 割にのぼり、日本での生活に希望を持つ人々の多様なニーズを満たすべく、日本全体で難民包摂に向き合っていく必要があります。
尚、今回は限られた期間での調査であったことから、調査対象者数は限定的であったため、今後も継続した調査を予定しています。
調査レポートのダウンロードはコチラから
企業も難民の背景を持つ方々の有する高いポテンシャルを認識
パネルディスカッションでは、アクセンチュアの丹羽氏から、難民の背景を持つ学生に向けて実施した同社の業務を体験するトレーニングプログラムついてご紹介いただきました。「日本人の学生にも同様のプログラムを実施している。その中で、論理的思考力が備わっており、コミュニケーション力も優れていると感じるのは参加者の内1~2割程度だが、難民の背景を持つ学生に実施した際は約半数にその力が備わっていた。彼らと対面する中で、国内では人材不足が叫ばれている一方、既に素晴らしい人材がいることになぜもっと早く気付かなかったのか」と話されており、難民の方々の持つポテンシャルが想定以上であったことをうかがわせました。
これまで2名の難民の方を雇用しているヤマハ発動機の白石氏は、「苦労していることは特にない」と話されていました。その理由として、難民の方々を包括する組織運営の工夫があるとし、多文化を経験するゲーム形式の研修についてご紹介いただきました。参加者をグループに分け、グループ毎に異なるゲームのルールを聞いていることを知らされずに、説明が終わった後にグループをシャッフルしてゲームをするそうです。例えば、女王様より王様の方が強いと聞いているチームとその逆を聞いているチームが一緒にゲームをするといった具合です。ゲームを続けていくうちに、参加者同士異なるルールを説明されていることに気が付くという要領です。このゲームを通じて、同じ単語や言葉を使っていても、意図しているところは違うかもしれない、ということに社員が気づくことが非常に有効であったとのことです。NPO法人で理事も務められる白石氏は、企業で難民の方の受け入れを行ってきた経験から、「今度は地域で多様な人材がカラフルに働いていけるような取り組みを推進したい」と話されていました。

(写真左上から時計回り)白石氏、丹羽氏、丹波氏、金、龔
日本で暮らす難民の背景を持つ方々が持つ力を発揮し、活躍する社会にするべく、Welcome Japanは設立されました。Welcome Japan自体はマルチセクター連携を加速させていくための中間支援組織であり、官民学様々なセクターに所属するメンバーから構成されています。マルチセクター連携を可能にする強みを活かし、今後さらなる難民の社会包摂に向け、多様な人財が埋もれずに、必要とする人や組織とマッチングできるような仕組みを構築していきたいと考えております。
皆様からのご支援・ご協力を賜れますようお願い申し上げます。
Welcome Japan Summit 2022 当日資料のダウンロードはコチラから
問い合わせ先:一般社団法人Welcome Japan
代表理事:金辰泰