母国・故郷からの移動を余儀なくされた人々が、日本において当人の「知」を活かせる持続的な仕組みの構築を目指しています。
取り組む課題
大学を通した難民背景のある学生・研究者の持続的な受入の促進
近年、日本の大学を通した難民背景をもつ学生・研究者の受入が拡大ししていますが、大学機関のみならず、様々なセクターやアクターとの協力と信頼関係の構築が不可欠です。大学の多様化する受入プログラムについて学び合い、受入後の日本での活躍・定住を見据えた持続的な受入プログラムおよび受入体制の構築とそのための議論の場が必要です。

活動内容
研究・教育機関で「亡命知」をより効果的に発揮するための場の形成
大学を通した難民背景をもった学生・研究者の受入事例について、日本・海外の事例などに関してヒアリング、意見交換を行い、持続的な受入体制のあり方についての検討を進めます。また難民背景のある人々の受入を、多角的な視点から捉え直し、アカデミアと実務家の対談・連携を進めていくなかで、ともに生きていくための基盤について考える機会を生み出します。

持続的な亡命知識人の受入体制に向けた土台作り
大学を通した受入プログラムの持続性について、国内・海外の事例(とりわけ世界規模で活動を展開する先駆事例にあたるScholars at Riskやそのメンバー大学、関係機関)も参照しつつ、どのような持続性のある受入体制の構築が可能か調査を進め、共有を進めます。

日本における難民背景のある人々の受入実践例の歴史的な検討と研究者・実務家の対談・意見交換
日本において、難民をめぐる課題について議論する場、および研究者、実務家、難民当事者がそれぞれの問いや知的関心を共有する場をつくり、論点の集約を行います。

メディア等を通した論点や知見の発信・共有
研究者と実務家の協働を促進するとともに、協働によって見出される日本の市民社会における移民や難民背景をもつ人々との共生にむけた建設的なアイデアを共有します。
宣言
亡命知識人としての包摂・育成
私たちは日本のアカデミアを一つの起点として、難民背景をもつ人々とともに、誰もが自身の持つ「知」の力を発揮できるような基盤の共創に向けた議論・対話・実践の場をつくります。 1) 難民背景をもつ人々および受入当事者へのインタビューを毎年20人以上実施します。 そこから得た洞察を歴史的に検証し、広く発信することで、アカデミア、企業、政府、ソーシャルセクターを越境して新たな活動や仕組みを生み出す基盤・プログラムを作り出します。 2) 移民・難民の歴史的あるいは現代的事例に関する勉強会やシンポジウムを年に2回以上開催します。 研究者と実務家の協働を促進するとともに、日本の市民社会における移民や難民背景をもつ人々との共生にむけた建設的なアイデアを共有します。 3) 学術知に限らず、さまざまな側面から「知の越境」について探究し、表現し、発信するためのメディアを年に定期的に発刊します。 日本において、難民をめぐる課題について議論する場、および研究者、実務家、難民当事者がそれぞれの問いや知的関心を共有する場をつくり、協働によって見出される「知」を広く発信します。 表現の場をつくることで、難民経験の悲惨さだけでなく人間として共通する部分に光をあて、ともに生きていくための基盤について考える機会を生み出します。 これらの取り組みによって、我々は、それぞれの専門性と国籍・民族・人種・宗教・学問分野などの個々人の背景を相互尊重する「知」の土壌を耕し、豊かにしていくとともに、連帯を築くことを目指します。